つらつらと、つらつらと

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逆説の日本史 第8巻

日本史を授業とは別の視点から読み解くシリーズ第八弾。
今回は、室町時代の終焉から戦国時代への突入まで。

逆説の日本史〈8〉中世混沌編―室町文化と一揆の謎 (小学館文庫)

逆説の日本史〈8〉中世混沌編―室町文化と一揆の謎 (小学館文庫)

足利義政が将軍になるところから始まるわけだけど、なんせ似たような名前や読みづらい名前が多いので訳がわからん。誰が誰の子供で誰とどういう関係なのかが、油断すると頭に入ってこない。
でもまあ要約すると、政府の責任者(この時代だと将軍(家)ね)が責任を取らず逃げ回っている、約束を守らない(どっかで聞いたような)、私腹を肥やす等からモラルが下がり、それならと言うことで各地の守護が勝手なことを始め、戦国時代へと突入していくと言う話。応仁の乱もこの時期だけど、これも将軍が約束を守らなかった事による跡目争いが発端。
それはそれとして、今の日本文化と言われる部分の原型ができた時代だったよう。例えば「和室」と言われているのは、畳敷きで床の間がある部屋を想像するけど、これはこの時代に完成した書院造りとほぼ同じ構成。将棋や能などもこの時期に完成した物らしいけど、意外な感じ。日本史の中でこの時代の印象は薄いよね(自分だけ?)。
当然本書の根底の思想は日本人の怨霊信仰なので、所々でそのエッセンスが表出している。古代からこの思想は変わっていないということを言っている。
このシリーズを最初から読み継いでいる読者なら納得の1冊(と思う)。読んでいない人は、まず第一巻を手に取った方が取っつきやすいかも。