著者は“感動プロデューサー”と称している平野秀典氏。
自分は寡聞にして知らなかったのだけど、有名な企業での講演も多数こなしているようで、その方面では著名な人だそう。(失礼)
何か自分から他人にプレゼントすれば(感動させれば)、いつかその見返りが得られるという内容だと思っていたら全然違った。
「GIFTの法則」とは、感情操作をして瞬間風速的にモノを売るためのテクニックではなく、大切な人に感動というギフトを届けることで心をつなげ、永く売れ続ける関係性を創る行為です。(P67)
Gap,Impact,Focus,Thanksの頭文字をとってGIFT。その4語をキーワードに、いかに相手を感動させ、自分の価値を上げていくかという内容。と言っても小手先のテクニックではなく、本質的な部分での価値向上を目指している。
さて自分が読んでみてピックアップしたキーワードを紹介したい。
- 今必要なのは、「伝える力」より「伝わる力」
- 感動は意外性からもたらされる
- 顧客は、「シーン」=体験を買う
- 「恩送り」から「恩贈り」へ
1.「伝える力」より「伝わる力」
どんな素晴らしい想いも、価値も、商品も、理念も、他者に伝わらなければ意味がありません。
情報過剰時代には、人の体温が伝わるような表現力のある人が、仕事を成功に導き、最高の人生を生み出すことができる可能性を持っているのです。(P9)
全くその通り。従来のテレビや新聞に加え、インターネットによるWeb媒体、TwitterなどのSNSなど、現在は情報の入手元は多岐にわたっているので、それらの中から目に止まるものをアウトプットするのは至難の技。実に99.996%の情報がスルーされていて、残りの0.004%の情報には、「自分ごと」「共感」「感動」という3つのキーワードが含まれているとのこと。
よく「冷静」とか「冷たい」と言われる自分なので、この辺のキーワードが苦手ではあるのだけれど、意識してアウトプットしないと99.996%の中に埋もれてしまう・・・。
2.感動は意外性からもたらされる
二人称シフトで大切な人と感動を共有するための第一の法則は、
「Gap 意外性を加える」です。(P65)
以前の上司から「予定調和を崩せ」と言われていたけど、そのまんまのことが書かれている。相手が想定しているサービスの範囲(予定調和)では、当然ながら感動は生まれない。相手を感動させるには、想定を超えたサービスをしなければならない(=予定調和を崩す(本書では「予定外調和」と記されている))。とはいえ、常に150%以上超えるとなると難しいので、本書では、
150%の気まぐれよりも101%の意外性を続けることで、人は心が動き、信頼が生まれ、やがて感謝の領域に達します。(P69)
と記されている。これならなんとかなりそうな気がする。
3.顧客は、「シーン」=体験を買う
あなたは、顧客という観客にどんな「シーン」を提供しているのでしょうか?
「シーン」の構成要素は、モノとコトとヒトです。
3つの要素の相乗効果で、記憶に染み込む感動のシーンが創られていきます。 (P116)
- モノ=魅力的な商品やサービス
- コト=お客様の幸福な体験
- ヒト=あなたの振る舞いとお客様の関係性
これはエンターテインメントやサービス業だけではなく、自分の属する製造業にも当てはまる。自分にとっての「顧客」は、工場の中のラインの担当者であったり、外部のいわゆるエンドユーザーのお客様だったりするわけだけど、提供する「シーン」の狙いは同じだと思う。
4.「恩送り」から「恩贈り」へ
恩をもらった人にお返しすることを「恩返し」。
(中略)
そして、もらった恩を、自分を通して他の人へ送っていくことを、江戸時代の人たちは「恩送り」と呼び実践していたそうです。(P176)
(中略)
もらった恩を、そのまま「送る」だけでなく、自分という存在を通じて、一味の価値を加えて、ご縁ある人へギフトとして「贈る」という意味で、「恩贈り」という言葉として甦らせたいと願っています。(P177)
「恩送り」どころか「恩返し」ができていないなあと・・・反省。
まとめ
この情報過多の時代、相手を動かすためにはそもそもメッセージを「伝わる」ようにアウトプットしなければならない。そのためには予定調和を崩し、感動(=心を動かす)させること。
今の自分にとって割と苦手な分野だけど、これからの半生を生きていくには(大げさ!)重要で必要なスキルと思うので、意識していきたい。
ちなみに巻末に著者のセレクトしたキーワードが載せられている。親切!