つらつらと、つらつらと

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【読書メモ】超「超」整理法

本書は「「超」整理手帳」や「「超」整理法」シリーズで有名な、野口悠紀雄さんの著書。

「「超」整理法」という筆者の前著を元にして、資料の電子化とその運用について論じている。なので、「超整理法」をあらかじめ読んでおいた方が分かりやすいと思う。

章立ては以下の通り。

 

第一部 デジタルオフィスの作り方

Gメール革命

・デジタルオフィスはオンライン

・紙との共存

 

第二部 IT時代の知の技法

・検索を制するものは知を制す

・検索は知のスタイルを変える

・新しい世界における知的生産の本質は何か?

・新しい知的生産技術

 

第三部 知の産業革命

・日本で知の産業革命が起きるか? 

 

本書は20089月初版発行なので、現時点からさかのぼって7年くらい経っている。従って、前半部分のGmailの機能に関する記述やその他のIT環境について、状況が大きく変わっているところがある。

それを踏まえて読んでいくことが必要。

また、検索の手法から知的生産の技術論となっていて、自分としてはここが重要な部分かと思う。

後半部分は、日本経済の問題点の指摘になって、テーマが大きく広がっている。

 

以下、自分が気になったフレーズをピックアップして列挙していく。

 

第一部は、Gmailを題材にし資料をオンラインに保管して、検索をすることで呼び出すための準備事項について述べている。

 

整理に限らず一般的にいえることだが、世の中は全てが同じ重要度を持つわけではない。だから、全てに等量の力を傾注するのは賢明なことではない。「重要なことは何か」を正しく見極め、それに努力を集中すべきである。(P56)

一般的と著者も言っているように、自分が先日読んだ「インバスケット思考」に繋がる考え方。これは是非意識していきたい。

 

「最初は美しい体系を作っても、次第に秩序が崩壊する」というのは、しばしば見られる現象である。(P58)

本当にそう。よほど注意していないと、整理のルールは崩れるし、管理のための管理となって、本末転倒に陥ってしまう。

そこで「紙」の資料の場合は、筆者が提唱している「押し出しファイリング」が一つの解決法と思う。

参照したり作成した資料を手前に(とりやすい場所に)しまうことで、古い(参照しない)書類が自動的に後ろの方へ押されていく。あとは定期的に押し出された書類を整理すればよいという考え方。

自分も実践しているが、簡単で楽に管理できるのが実感できている。

 

検索しやすくするために、まず、タイトルの規則性が大事だ。メール本文の書き方をシステマティックにすることも必要だ。(中略)相手に強制するわけにいかないが、相手からきたものをこちらのフォーマットで作り直しておけばよい。(P59)

電子ファイルでは物理的な場所を占有するわけではないので、「検索」しやすい状態にしておく必要がある。そのための手法。

 

「神様ファイル(実際には使わないが、捨てることができない資料)」は、できるだけPDFで電子化して、検索可能な形態にしておこう。(P132)

自分も極力電子化して保管している。紙のままだと、まず探し出せなくなってしまう。

 

第二部は、検索の手法について解説している。ここは正直よく分からないところもあったけど、日常的に行っていることが書かれていると思う・・・。

 

むしろ重要なのは、「どこにあるにしても、それを探し出す能力」である。(P136)

「デスクトップ検索」で自分のPC内のデータが検索できる。デジタルデータは決して捨ててはいけない。ひたすら保存して検索すれば、発想支援など様々な目的に役立たせることができる。(P184)

保存して検索しているけど、まだスムーズに目当ての資料にたどり着かないことがある。

 

問題意識のあるなしで、世の中はまるで違って見えてくるものだ。問題意識を持てば、自然にヒントが目に入ったり、聞こえてきたりする。「重要な情報はないか」と問題意識を持ち続けていれば、重要な情報がキャッチできる。(P223)

確かにそうだけど、この「問題意識」を持つことが難しい。どこに問題意識を持つかは自分の改善点と思う。

 

新しい時代においていま一つ重要なのは、判断能力である。正しいのか、正しくないのか。重要なのか、重要でないのか、を判別できる能力だ。(P224)

ここも自分の課題で、この1年間の業務の中で判断ポイントが混乱してきている。これは周囲の人との摺り合わせをしていくしかないかな。

 

新しい時代における知的労働者の最重要課題は、この三つ(「問題設定」「仮説の構築」「モデルの活用」)を実行しうる能力の確保だ。(P230)

早く問題を解決するためには、「仮説の構築」が必須。あらゆる可能性を想定してつぶし混んでいく時間はない、ということは分かっているが、いわゆる”一本釣り”にならない様なバランスが大事だと思う。

 

何をおいても必要なのは、「とにかく始める」ことだ。いかなる仕事においても、もっとも難しいの「始めること」である。多くの人は、全体の見通しがある程度できないと、仕事に取り掛かれない。(P249)

“多くの人”と書いてあって少し安心した。始めてしまえば仕事は完了に向かうけど、始めなければ完了しないのは当たり前、だけどそれが難しい。

 

第三章は、IT環境が整備されてきたことに伴う日本経済に関する問題提起。日本企業の年功序列や日本人のマインドにまで言及している。

 

日本の主要企業の中で一人当たり時価総額が高いのはトヨタ自動車だが、それでも、ここで取り上げたアメリカ企業の十分の一以下でしかない。ソニーはアップルの二十七分の一でしかない。(P289)

この生産性の低さはどこから来るのだろう?筆者は、この原因を

「日本人が大組織の中で能力を発揮できる機会を与えられていないことにある」と考えざるを得ない。(P289)

と述べている。ちょっと問題提起のスケールが大きいので自分の手には負えないけど、言っていることは理解できる。

 

本書を読んで、実践しようと思うのは、

・「重要なことは何か」を見極める。

・その「重要なこと」について「問題設定」を行って、問題意識を持つ。

・「仮説の構築」および「モデルの活用」を行い、早いPDCAを回す。

だけど、具体的じゃないなあ。