ゴーグル男の怪
冒頭から島田荘司ワールド全開。
物語は東京都下の架空のある街を舞台に、タイトルにある得体の知れない不気味な「ゴーグル男」の出現から殺人事件の発生、主人公の一人である「ぼく」の一人語り、その街で起こった臨界事故と3つの別々の視点から始まっているが、最後には全て一つに収束していく・・・。
「ゴーグル」とその中にのぞく顔は、皮膚が無く、赤黒く爛れた筋肉のように見える、そんな男が霧の中から現れるなんて恐ろしすぎる。
前述の臨界事故は、1999年に発生した「東海村JCO臨界事故」をモチーフにしていると思われ、本作の中で重要な背景として扱われている。実際の東海村の事故はニュースで起こったことは知っていたが、その後二人の作業員の命が失われたことまでは記憶していなかった。改めてWikiを読んで事故の状況を知ることができた。
兎にも角にも最後にどんでん返しがあると思って早々に犯人を考えるのを諦めて、純粋に読み物として読み進めることにした笑
案の定、想定外の結末。犯人の言い分は共感できず。この犯人のような生い立ちの設定は筆者の登場人物に多いような気がする。
このところYoutubeばかり見ていて日本語の文章の乱れについて心配になってきたところにこの本の正しい日本文を読んでホッとしたり。
