データを活用してマーケティングに生かすための考え方について解説した本。なので、商品開発に所属したり、顧客戦略をデータに基づいて考えようとしている立場にいる人にはぴったりな本。
製造業の情報システム部門に所属している自分としては、てっきり汎用的なデータ分析手法についての解説がされていると思っていたので期待が外れた。自分が内容をよく確認せずに、タイトルだけで買ったのがいけないんだけど…。
とはいえ、データを分析・活用するという観点で参考になった部分を紹介。
昨今、「ビッグデータ」「IoT」「Industry4.0」「AI」などという言葉が流行っているけれど、みんな「データを活用してより満足度を上げましょう」ということが目的で、データから発見を生み出す技術が今後ますます普及するという将来像が現実になるとすれば、以下のような準備をする必要があるとのこと。
- データリテラシーを身につけ、維持する
- 目標に注意を向ける
- 才能を雇う、育てること
1.データリテラシーを身につけ、維持する
基礎レベルのデータリテラシーがなければ、周囲から取り残されてしまうだろう。(P347)
これは何にでも言えること。ITリテラシーがなければ、現在の情報化社会から取り残されてしまうように。ただどこまでが基礎レベルのリテラシーなのかは明記されていない(と思う)。統計学の初歩レベルだとは思うけど。
2.目標に注意を向ける
「データで何ができるか」という考え方から始めてしまい、「データで何をすべきか」を考えることがおろそかになってしまうのだ。(P348)
いわゆる手段が目的化するのを戒めている。あくまでもデータを使うのは手段。その結果を使ってどう行動し、何を得るのかを意識しないといけない。
目標設定の3要素として
- 測定方法
- ベンチマーク
- 時間設定
この3つの要素がそろわないと、目標は単にゆるい方向性を示すものか、願望のようなものになってしまう。(P239)
を挙げているけど、測定できて(結果を定量的に評価できるもの)、現実的で(ベンチマークの遥か上を行くようでは夢レベルになってしまう)、納期を切ることで初めて目標は機能すると言っている。
目標設定の考え方としてはSMARTという手法が紹介されている。SMARTとは、
Specific(具体的)
Measurable(測定可能)
Achievable(達成可能)
Realistic(重要性)
Time based(具体的な期間)
の頭文字を取ったもの。先に挙げた3つの要素が含まれている。
3.才能を雇う、育てること
何をするにせよ、数学マーケティングを活用したいのであれば、組織としてそれに取り組むようになっていなければならない。数学マーケティングの成功を左右するのは、数字でもアルゴリズムでもない。人間だ。(P348)
組織でいうと、スキルのある人をどう集めてきて、どう活用するか、を考えなければならない。個人ではやはり勉強してデータ分析のスキルを上げること。当然ですね。具体的にはやっぱり統計学から始めるべきかな。
まとめ
これからデータを活用してマーケティングを行いたい人向けの入門のための本だけど、最後の何割かのページは一般論として参考になるところ。各章の最後にポイントがまとめられているので、わかりやすいと思う。
- 作者: ディミトリ・マークス,ポール・ブラウン,馬渕邦美,小林啓倫
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/02/28
- メディア: 単行本
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