【読書メモ】プロフェッショナルマネジャー
中間管理職向けの指南書かと思って購入してみたら、経営論だった。
アメリカのITTという会社を多国籍複合企業に仕立て上げたハロルド・ジェニーンと言う社長の自伝的経営論の解説書となっている。
さらに、柳井正ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長(記事作成時点)が"はじめに"と"付録 「創意」と「結果」7つの法則"で解説していて、1冊で2度美味しい本となっている。これは、柳井会長の経営論のエッセンスと、柳井会長目線での本文の解説で、これだけでも得した感じ。
著者がITT社長・会長に就いていたのは1959〜1977の18年間、本書が日本で発行されたのが2004年ということで、一昔も二昔も前のこと。だけど、本書に収められているメッセージは、経営の心構えから、リーダーシップ、数字の扱い、取締役会との関係など、経営に対する普遍的な哲学に思える。
ただ自分は現在経営者ではないので、自分の現時点での役割にとって役立つ部分を抜き出してみる。
それは大きく2つ
- 仕事への取り組み姿勢
- リーダーシップ
1.仕事への取り組み姿勢
≪三行の経営論≫
本を読むときは、初めから終わりへと読む。
ビジネスの経営はそれとは逆だ。
終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。(P34)
仕事は、目標を定め、それに向かって何をするのかと言うアプローチ。そうでないとやることがぶれてしまうし、往々にして手段が目的になってしまう。
それは彼が勉強にはげんだからではなく、ひとつの対応がうまくいかなかったら次の対応を、そしてまた次の対応を目標に達成するまで試み続けたからである。それが、経営すると言うことなのだ。(P119)
マネジメントは生きている力だ。それは納得できる水準-その気があるなら高い水準-に達するように、物事をやり遂げる力である。(P293)
第5章と第13章に繰り返し書かれている。なので、筆者が伝えたいと思っていることの最重要項目の一つだろう。
前者には"経営する"とは書いてあるけど、仕事をする上でどんな職位にあろうと必要な姿勢だと思う。果たして自分は試み続けているだろうか?
2.リーダーシップ
全社の個性を決定するのは最高経営者だということを知っていた。彼の下にいる人びとは彼の命令を遂行し、彼のスタイルを模倣する傾向がある。(P147)
最高経営者でなくても、例えば課やそれ以下の小さなチームでも同様と思う。チームの個性はリーダーに依存する。気をつけないと。
最終的に、良いリーダーのやることは紳士的でなくてはならない。紳士的とはどういうことか、彼は知っていなくてはならない。ほかの者はみんな知っている。むろん、だれもも自分のリーダーが、無知、不決断あるいは弱さから、無能を甘やかすことを望みはしない。弱いリーダーの判断は頼りにできない。なぜなら、困難な状況にぶつかったら、どう変わるかもわからないからだ。困難で、不評判ですらある決断をすることを恐れない強いリーダーのほうが−ただ、目下の人間を扱うのに紳士的で公正で信頼できるということが知れ渡っている限りにおいて−ずっと多くの尊敬と忠誠を得られる。(P153)
誰からも好かれるような判断ばかりしていてはダメだと言うことですね。
リーダーであるならば、非情な決断も必要だと。
リーダーシップというものは、人生と同様、歩みながら学ぶほかはないのだ。(P163)
歩みながら学べるものであれば、学べば、自分も良いリーダーになれる可能性があると言うことですね。
3.まとめ
内容は経営論だけど、仕事をする姿勢に対して参考になると思う。
だけど、そこそこボリュームがあるので、自分のように経営論目的でない場合は、速読ができるか、十分な時間がある人向け。